_ コールド マウンテン


『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞に輝いたアンソニー・ミンゲラ監督が壮大なスケールで描く至高のラブストーリー

 激動の時代に生まれた純粋すぎる恋──21世紀の「風と共に去りぬ」
 たった一度の口づけで、互いが運命の相手だと知ったインマンとエイダ。南北戦争によって引き裂かれた2人は、堅く心に誓いあう。インマンは、命を賭けてエイダの元に帰り着くことを。エイダは、何があっても彼の帰りを待ち続けることを......。

 アカデミー賞9部門を受賞した『イングリッシュ・ペイシェント』で文芸ロマンの巨匠の座を不動のものにしたアンソニー・ミンゲラが、ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガーという当代最高のキャストを迎えて放った『コールドマウンテン』。全米公開と同時に絶賛の嵐を巻き起こし、本年度アカデミー賞6部門ノミネート、英アカデミー賞13部門ノミネートの快挙を成し遂げ、ゴールデン・グローブ賞最優秀助演女優賞を始め幾多の賞に輝く本作は、全米図書賞を受賞したチャールズ・フレイジャーのベストセラー小説の完全映画化。恋人が待つ故郷に向けて500キロの道のりを歩み始めた男と、彼を待つためにその場所を離れまいと誓った女が、ただ1つの愛を貫くために繰り広げる生の闘いを、壮大なスケールの叙事詩として描きあげた至高のラブストーリーである。


あなたの瞳を想えば3歩、唇を夢見て5歩──必ず、帰る。

 時代は、南北戦争末期の1864年。南軍兵士としてヴァージニア州の戦場に送られたインマンは、ゲリラ戦に出撃を命じられた結果、瀕死の重傷を負って病院に収容される。回復を待つ間、彼の脳裏に浮かぶのは、3年前に離れた故郷コールドマウンテンの懐かしい情景。そして、出征前にただ一度だけ口づけを交わした恋人エイダの面影だった。この世に1つだけ確かなものがあるとしたら、それは彼女への愛をおいて他にない。その想いに駆り立てられたインマンは、脱走兵として死罪に問われるのを覚悟で、故郷への道を歩み出す。一方、その間に父を亡くす不幸に見舞われたエイダは、生活の手段を失い、窮地に立たされていた。明日の食べ物にも事欠く苦境の中、インマンとの再会だけを心の支えに生きるエイダ。そんな彼女に、救いの手をさしのべる流れ者の女ルビー。彼女の指導を受け、辺境の地で生き抜く術を身につけていくエイダ。そして遂に、エイダの元へ、インマンが帰り着く日がやって来る......。

 何度も死の危険と遭遇し、誘惑や裏切りの試練にさらされながら、ひたすら故郷への道を歩み続けるインマン。ホメロスの『オデュッセイア』を彷彿させる彼の波乱に満ちた旅路を、戦争の傷跡を残しながらも、希望を捨てずに逞しく生きる人々のエピソードと共に辿るドラマは、一方で、深窓の令嬢から大地の女に生まれ変わっていくエイダの劇的な成長ぶりを情感豊かに描き出し、観る者の心を揺さぶる。そんな2人の心を結び合わせるシンボルとして、そびえ立つコールドマウンテンの厳しいまでの美しさ。それと呼応するように、極限まで研ぎ澄まされたインマンとエイダの愛。その純粋にして崇高な輝きを、格調の香り高い映像詩の中に封じ込めた本作は、21世紀に誕生した本格ラブストーリーの最高峰として、永く記憶されるものとなるだろう。




コールドマウンテン──その名を聞くだけで、胸が痛くなる
帰りたい──あなたがいるから


 還らなければ──魂のいるべき場所へ 1864年夏、ヴァージニア州のピーターズバーグ。北軍の包囲攻撃にさらされる南軍の要塞で、インマン(ジュード・ロウ)は不安な朝を迎えた。この戦争に駆り出されてから3年、疲労と食糧不足を耐え忍ぶ日々を送ってきた彼にとって、唯一の心の支えは、出征前に1度だけ口づけを交わした恋人のエイダ(ニコール・キッドマン)と、生きて再会する日が来ることを信じるだけ――。別れの日に彼女に手渡された本と銅版写真、そして3通だけ届いたボロボロの手紙を握りしめながら、インマンは静かにエイダの面影に思いを馳せる。その時、北軍が地下のトンネルに仕掛けた爆弾が炸裂。続いて、一気に要塞を攻め滅ぼそうとする北軍の総攻撃が始まった。かろうじて瓦礫の下からはい出たインマンは、同郷の少年オークリー(ルーカス・ブラック)を助けようと敵の中に飛び込んでいく。だが、その甲斐もなく、オークリーはインマンに看取られて息を引き取った。「先にコールドマウンテンに帰る」という一言を残して。

 ノースカロライナ州のコールドマウンテン。険しくも美しい大自然に抱かれたこの山間の開拓地に、モンロー牧師(ドナルド・サザーランド)と娘のエイダが移住してきたのは、3年前のことだった。村の男たちと共に教会の建築に携わっていたインマンは、エイダを一目見た瞬間から、磁器のように白い肌をした彼女の美しさと聡明な輝きに魅せられる。エイダもまた、自然と共に生きるインマンの寡黙で実直な人柄に、街の男にはない魅力を感じた。ほんの束の間の見つめ合い、わずかな言葉の会話だけで、日に日に惹かれ合う2人。インマンは、教師をしていた亡き父の楽譜に、そっと自分の銅版写真を忍ばせてエイダに贈る。そのお返しに、エイダはウィリアム・バートラムの本と自分の銅版写真を持ってインマンのアパートを訪れる。それは、南軍兵士としてインマンが出征する日のことだった。募る愛しさに突き動かされて、エイダを抱き寄せ、口づけをするインマン。あわただしく行進の列に加わった彼の耳には、「お帰りを待っているわ」というエイダの声がいつまでも甘く響いていた。


キャスト_ ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガー、ドナルド・サザーランド、ナタリー・ポートマン、フィリップ・シーモア・ホフマン
監 督_ アンソニー・ミンゲラ
備 考_ 原作:チャールズ・フレイジャー、製作総指揮:イアイン・スミス、撮影監督:ジョン・シール、音楽:ガブリエル・ヤール、衣装:アン・ロス、美術:ダンテ・フェレッティ、編集:ウォルター・マーチ/2003年/イギリス・イタリア・ルーマニア合作/カラー作品/全9巻/スコープサイズ/ドルビーSRD/上映時間:2時間35分/字幕翻訳:戸田奈津子/東宝東和提供
公 開_ 4月24日(土)、日劇3ほかにてロードショー
公式サイト_ http://www.coldmountain.jp


_Movie Information Dondetch_