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![]() 亜美の初恋はお兄ちゃんでした。 『リアリズムの宿』で大注目の新鋭・山下敦弘監督が 伝説の美少女アニメ『くりいむレモン』の実写化に挑む…! ![]() その監督とは、山下敦弘。絶妙に“間”を生かした演出センスと、人間のおかしさや哀しみをソフトに見つめる繊細な感性で、いま注目度ナンバーワンの弱冠28 歳。大学の卒業制作として完成させた『どんてん生活』、大きな飛躍を見せ各方面から絶賛をあびた『ばかのハコ船』、くるりを音楽に迎え、つげ義春の劇画を独自にアレンジした『リアリズムの宿』。ダメ男子中心の冴えない青春模様をオフビートに描いた以上の三部作により、“和製アキ・カウリスマキ”の称号を受けた彼。しかしそんなレファレンスの域に山下敦弘がとどまる監督でないことは、これまでとまったく違う題材を見事にこなした今作で、誰もが確信するだろう。 ![]() そして事件と呼べるのが、ヒロイン亜美を演じる映画初主演(出演は二作目)の村石千春! 初々しく、あどけないたたずまいから無防備に色気を漂わせる、とろんとした目つきと、ぽてっとした唇。「お兄ちゃん」と口にしたとき同時に吐息がもれる、キュートなウィスパー・ボイス。大胆なベッド・シーンにも挑戦し、まさにこの役をやるために生まれてきたような素晴らしさだ。兄のヒロシには、『月光の囁き』や『ロックンロールミシン』などでセンシティヴな名演を見せ、今後も映画出演作が目白押しの水橋研二。音楽は山下監督の盟友であり、今年のフジロック・フェスティバルへの出演でも話題のバンド、赤犬が担当している。 ![]() 野々村亜美(村石千春)は、都内(?)の高校に通う17 歳。 持病の喘息のため学校を早退した彼女は、2 歳年上の兄、ヒロシ(水橋研二)が、 大学にも行かずベッドにもぐりこんだままなのに呆れる。 ![]() 共に再婚した両親の連れ子であった二人。血のつながっていない兄妹の間には、誰も知らない、お互いにも打ち明けられない感情が芽生えていた。 ある日、海外出張で留守中の両親に代わり、ヒロシが亜美の進路相談に出席する。担任教師・佐々木(小沢和義)の乱暴な態度に、怒りを表したヒロシ。亜美はそんな兄の思いを嬉しく受けとめつつ、友人の由美(勝俣幸子)に男っ気がないことをからかわれる。 そのまま家に遊びにきて、ヒロシの部屋に上がりこんだ由美。微妙に嫉妬心を表す亜美に対し、ヒロシは言い訳じみた言葉を返した。ぎこちない空気の中、二人は不意に、初めて「好き」という言葉を交わす。それがどんな意味なのかは、まだ確認できていない。 風邪で発熱した亜美。付きっきりで看病するヒロシだが、亜美の回復を待たず、彼も高熱で寝込んでしまう。毛布を羽織ったヒロシは、息を切らしながら亜美のベッドに歩み寄って、突然こう告げた。 「オレのこと、どう好きなの?」。 すると亜美の手がヒロシに伸びて、二人は抱き合い、キスをする。 そうしてそのまま、初めての肉体関係を持った。 熱の引いた二人は、まるで堰を切ったように、両親のいない自宅で頻繁に愛し合う。自堕落な生活が続き、家の部屋中、スナック菓子やペットボトルが散乱。しかし甘い日々は、さほど長くは続かなかった。リビングのソファでセックスしているところを、ちょうど海外から帰ってきた母の遥(根岸季衣)に見られてしまったのだ。半裸で自宅を飛び出し、車に乗り込んだヒロシと亜美。ほとんど言葉を交わさないまま、二人は海沿いの道を走って伊豆へと逃避行するのだが……。
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_Movie Information | Dondetch_ |