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![]() 「笑ってごらん・・・幸せになれるから」 笑顔を知らないユダヤ人の少年に人生の素晴らしさを教えたのは、年老いたトルコ商人だった。 『ニュー・シネマ・パラダイス』、『セントラル・ステーション』に続き、世界各国を温かな涙で包み込んだ感動作が日本上陸! ![]() イブラヒム役を即決。名優オマー・シャリフの演技が輝く 賢明でつつましく、無限に広がる空のようにおおらかな人生観を持つイブラヒムを演じるのは、『アラビアのロレンス』(‘62)でアカデミー賞候補になって以来40年以上も国際派スターとして活躍するも一時引退を宣言していたオマー・シャリフ。本作をきっかけにハリウッドからもオファーが殺到。『オーシャン・オブ・ファイヤー』(‘04)などで得難いバイプレイヤーぶりを発揮している。哲学的なセリフをさらりと言ってのける役柄に枯れた名演技を光らせた彼は、本作でヴェネチア映画祭の特別功労賞、観客賞を受賞したほか、セザール賞の主演男優賞も受賞。ゴールデン・サテライト賞の助演男優賞にもノミネートされた。 その名優シャリフと共に劇の感動を担うモモを演じたのは、本作がデビューとなるピエール・ブーランジェ。全くの新人ながら、思春期の揺れ動く感情を巧みに表現する演技は批評家の賞賛を浴び、シカゴ国際映画祭では主演男優賞に輝いた。その他、脇を固めるキャストには、『逢いたくて』のジルベール・メルキ、『ヴィドック』のイザベル・ルノーといったベテランが集結。また、イブラヒムの店へ水を買いに来るブリジッド・バルドーのような女優の役どころで、イザベル・アジャーニが出演しているのも見逃せない。 60年代のノスタルジックな音楽がしみじみと心に残る ![]() 「ほら、人生は素晴らしい」 あの夏、ぼくは幸せになる秘密を知った。 ![]() そんなモモの目下の最大の関心事は、はやく初体験をすませること。毎日、アパルトマンの窓から娼婦たちの姿を眺めながら、誘い方の練習に励むモモ。「今日こそは」と意を決した彼は、貯金箱の小銭を持って、通りの向こうにあるトルコ移民の老人の食料品店へ両替に行った。店主のイブラヒム(オマー・シャリフ)には、両替の目的はお見通し。だが彼は、黙ってモモに札を手渡した。その35フランを握りしめ、通りに戻ったモモは、16歳だと年齢をごまかして娼婦を誘うことに成功。晴れてオトナの仲間入りを果たす。 それからしばらくして、ブルー通りに映画の撮影隊がやって来た。近所の人たちや娼婦に交じって、モモも撮影を見学。イブラヒムの店では、女優(イザベル・アジャーニ)が買い物をした。イブラヒムが水を5フランで売りさばくのを見て、「ぼったくりだね」と声をかけるモモ。するとイブラヒムは、「君がくすねた分を取り返さなくちゃ」と言った。彼は、モモが毎日のおつかいのついでに、缶詰を万引きしているのを知っていたのだ。「ちゃんと弁償するから」と、しどろもどろになるモモに、「弁償しなくていい。でも、盗みを続けるならうちの店でやってくれ」と答えるイブラヒム。モモ宅の家計の苦しさを知っている彼は、余ったパンをあぶって食べる方法や、コーヒーにチコリを混ぜる方法、ティーバッグを乾かして再利用する方法をモモに教えてやった。そんなイブラヒムに、モモは、父親からは得られない大きな愛情を、彼が注いでくれるのを感じる。 モモがイブラヒムに教えてもらったこと。そのなかで最も役に立ったのは、笑顔で幸せをつかむ方法だった。数学の授業で問題が解けなくて困ったとき、いくら誘っても相手にしてくれなかった娼婦を口説くとき、笑顔はとても役に立った。だが、父にこの手は通用せず、笑顔を向けても「歯列矯正が必要だ」と言うばかり。ガッカリしたモモは、「僕がポポルならパパに愛されたのに。ポポルはママに笑い方を教わったはずだ」と、イブラヒムに寂しい胸中を打ち明ける。そんなモモを、「ポポルよりも100倍、君のことが好きだ」と言ってなぐさめたイブラヒムは、「足は取り替えることができないから」と、モモに靴を買ってくれた……。
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_Movie Information | Dondetch_ |