_ トリコロールに燃えて


本年度アカデミー賞女優シャーリーズ・セロン受賞後初主演作品
第二次大戦下、盛衰のパリ。激動の歴史の中で真実の愛を追い求めた女の美しくも儚い感動のラブストーリー


「世界で最も美しい50人」に選ばれるほどの美貌を持ちながら、「モンスター」で13キロ以上も体重を増やし実在の連続殺人犯に挑戦、その迫真の演技でアカデミー賞ほか世界中の映画賞を総ナメしたシャーリーズ・セロン。

 彼女の次なる挑戦は「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラを彷彿とさせる、純粋であるがゆえに奔放に生きながらも、やがて真実の愛に目覚める女性、ギルダ。14歳の時に占い師から「あなたの34歳以降の人生が見えない」と告げられたことで、懸命に生き急ぐギルダは、運命の恋人ガイと出会いながらも、芸術の花咲く1930年代のパリで戦渦の現実に背を向け、時に女優、時にカメラマンと、留めもなく自己を表現し、ガイや友人のミアとの享楽的な生活を謳歌し続ける。しかし迫りくる戦争の脅威は、やがて彼女自身を大きく変えていく・・・。

「モンスター」に続いてシャーリーズ・セロンは、栄華を極める人生の衰退の中で本当に大切なものを見出す心情の変化を、見事に演じきる。 共演は、ギルダとの愛を貫くガイ役に実生活でもパートナーであるスチュアート・タウンゼント、ギルダとのミステリアスな関係を感じさせるミア役にペネロペ・クルス。

 更に「戦場のピアニスト」でピアニストを匿うドイツ人将校を演じたトーマス・クレッチマンが、ギルダの運命を大きく変えるドイツ兵役を再び印象的に演じる。 監督・脚本は「泉のセイレーン」や「妻の恋人、夫の愛人」で高い評価を得るジョン・ダイガン。撮影監督に「スィートヒアアフター」のポール・サロッシー。プロダクション・デザインのジョナサン・リー(「エリザベス」)と衣装のマリオ・ダビグノン(「ロミオ&ジュリエット」)が見事に当時のパリを再現する。ギルダの人生の光と影に歩調を合わせるかのように、舞台となる第二次世界大戦前後のパリの街角も栄枯盛衰の表情を見せる。

 時に退廃的なまでに艶やかに輝き、時に色褪せた写真の様に打ちのめされるパリの風景は本作の影の主役ともいえるだろう。撮影はカナダのモントリオール、フランスのパリ、そしてイギリスのロンドン、ケンブリッジ、サセックスと5都市で敢行。戦争に翻弄されていくパリを舞台に美しくも儚い愛を描く感動のラブストーリーがここに誕生する。

「トリコールに燃えて」の時代背景

パリの栄枯盛衰――1930〜1944

1930年代―パリは様々な芸術家たちが集う革新的な街だった。作家ではヘミングウェイやジョイス、画家ではピカソやダリ、シャガールもいた。更にはマン・レイやアンリ・カルティエ=ブレッソンなどの写真家、ジャン・ルノワールやルネ・クレールといった映画監督達、 ファッションでもヘレナ・ルビンスタインやココ・シャネルが頂点に君臨していた時代である。そして夜のクラブではウディ・アレンの「ギター弾きの恋」にも登場したジャンゴ・ラインハルトや、ジョセフィン・ベイカーといった才能が生まれていた。まさに戦争の狭間で艶やかな輝きを放つ芸術の花咲く都だったのである。

1940年代―ドイツ軍がマジノ線(ドイツ国境に建設されたフランスの要塞線)を突破しフランスに侵攻、その結果フランスは二つに分断された。パリには戒厳令が敷かれドイツ軍が駐在、パリ在中のユダヤ人はアウシュビッツに収容されたが、市民の大半はドイツ人と友好関係を築き闇市で成功を収める人もいた。やがて拡大する抵抗勢力は米軍と共に激しい市街戦の末に ドイツ軍を降伏させる。歓喜極まる市民達だったが、多くは法を勝手に執行するようになり、ドイツ人の協力者たちに私的制裁を加えた。特に標的にされたのはドイツ人と関係を持っていた女性達である。彼女たちは裸にされ髪を刈られ、殺された者も数え切れない。今日に至るまで、フランス史研究者達はこの時に殺害された人々の数を度々訂正している。

スペイン内乱――1936〜1939

スペイン内乱はフランシスコ・フランコ将軍率いるモロッコ駐屯軍の蜂起によって口火を切られた。1936年末までに反乱軍はスペインの大部分を手中に収めた。 一方、共和党政府は市民軍を組織し軍装備させた。ファシズム国家イタリアとナチス・ドイツは反乱軍を支援し、ソ連は共和党政府の側についた。 それに加えて各国から駆けつけた義勇兵が国際旅団を形成し、共和党政府の支援にまわった。1937年にはドイツ軍が無防備な古都ゲルニカの無差別爆撃を行い、これに憤りを覚えたピカソが<ゲルニカ>を発表している。戦いは1938年には共和党政府が大敗で終戦。その年末、国際旅団は解散され、参加者達は故郷に戻っていった。




二人は運命に従い愛し合い、運命に抗って夢を見た……

 1933年、英国の貧しい大学生ガイ(スチュアート・タウンゼント)は、ささいなことから美貌と天真爛漫な振る舞いで名高い上流階級の娘ギルダ(シャーリーズ・セロン)と出会う。全く生きる世界が違うゆえにお互いに強く惹かれ合い、一夜を共にする二人。
しかし、ギルダはガイの愛の告白を受け入れることなく華やかでスリルのある人生を求め、単身パリへと旅立っていく…。

 3年後、大学を卒業したある日、忘れかけていたギルダからの手紙に導かれパリに渡ったガイは、女優やカメラマン、アーティストと次々と自己表現の場を求め、華やかに暮らすギルダと再会する。しかし、芸術活動の援助を目当てにパトロンとベッドを共にすることを止めない奔放なギルダ。彼女は、14歳の時に占い師から「あなたの34歳以降の人生が見えない」と告げられたことが脳裏から離れず、とにかく生き急いでいた。そして、その願いは、恋人のガイ、スペインの内戦を逃れてきた友人のミア(ペネロペ・クルス)の3人で暮らすことだった。

 迫りくる戦争の現実に背を向け、1930年代パリ特有の享楽的な生活を謳歌する3人。
しかし、台頭するナチスの勢力は次第に彼らの生活に影を落とし始め、ガイとミアはいつまでも快楽主義的な生活を追い求めるギルダを残して内戦の激化するスペインに渡ってゆくのだった…。

月日が流れ、世界は遂に戦争に突入していった。
そして、レジスタンス活動のためにナチス占領下のパリに舞い戻ったガイが見たのは、
ドイツ将校に寄り添い街を歩くギルダの姿だった。
相変わらず自分の幸せだけを追い求めているかに見えるギルダ。
しかし、戦争の荒波は彼女の人生、そして彼女自身をも大きく変えていたのだった…。


キャスト_ シャーリーズ・セロン「モンスター」、ペネロペ・クルス「バニラ・スカイ」、スチュアート・タウンゼント「コール」
監 督_ ジョン・ダイガン「妻の恋人、夫の愛人」
クレジット_ 原題:HEAD IN THE CLOUDS/2004年/アメリカ/121分/シネマスコープ/ドルビーデジタル、ドルビーSR/提供:ギャガ・コミュニケーションズ/協力:エイベックス/ギャガ・ヒューマックス共同配給
公 開_ 10月30日(土)より、みゆき座他全国東宝洋画系にてロードショー
公式サイト_ http://www.gaga.ne.jp/tricolore/


_Movie Information Dondetch_