_ 約三十の嘘


なぜ人は嘘をつくのだろうか。自分を誤魔化したいから? 格好つけたいから? 人に良く思われたいから…?本作に登場する6人は、みんな嘘を生業として生きている詐欺師たち。

 ある事件から解散していたチームが3年ぶりに再び結集し、豪華寝台特急トワイライトエクスプレスへ乗り込むところから物語ははじまる。
落ちぶれた元リーダー、志方。クールな美人詐欺師、宝田。昔はアル中だった若手詐欺師、佐々木。頼りない新リーダー、久津内。 お調子者の新参詐欺師、横山。そしてボインの女詐欺師、今井。

 久々の大仕事は成功したが、大金の詰まったスーツケースが走り続けるこの列車から消えた......。 一つだけお断りしなくてはならないのは、本作はサスペンスでもミステリーないということ。皆さんが予想するような大ドンデン返しも起こらず、ましてや殺人なんぞはもっての他の映画なのだから。
それでも想像できない展開は止まらない、"疾走する密室"で繰り広げられるのは、騙し騙され、愛し愛されようとする様々な人間模様。
裏切り、鞘当て、駆け引き......やがて忘れたい記憶や本音までもが次々に明かされていく。大切なのはお金? それとも愛?
"隠された想い"が打ち明けられた時、違う方向を向いていたバラバラの6人が結びつこうとするが......。

 終着駅に近づくにつれ、人間のちょぴり切ない想いが浮かびあがっていく。 ついつい嘘をついてしまう、可笑しくも愛しい男と女。 嘘発、幸せ行きの旅はいったいどこへ到着するのだろうか。 極上のコラボレーションと共に、予想出来ない映画が動き出す。 今、最も旬なオールスターが、かつて見せたことのない"顔"を見せる。

 駅のホームに集結したのは、椎名桔平、中谷美紀、妻夫木聡、田辺誠一、八嶋智人と、名実ともに兼ね備えた個性派揃い。 そして、未知の魅力を備えた大型新人・伴杏里が加わり、総勢6人が嘘の火花を散らせる。

 原作は、今最も熱い劇作家・土田英生の「最後までどこへ向かうかわからない!」と絶賛された同名戯曲を新たに脚本化。 共同脚本として『ジョゼと虎と魚たち』の渡辺あやも加わり、強力タッグを組む。 プロデューサーは、『黄泉がえり』の久保田修と『ピンポン』の小川真司。『ジョゼと虎と魚たち』に次ぎ2本目のコラボレーションとなる。 音楽は、人気爆発中の横山剣率いるクレイジーケンバンド。数々のヒット曲をちりばめながら、サウンドトラック初挑戦。 さらにテーマ曲「あぶく」を新曲として書き下ろした。

 監督は、『avec mon mari アベックモンマリ』『とらばいゆ』で微妙なバランスの男女を鋭く描き、内外の映画祭で絶賛を浴びた大谷健太郎。 こんな錚錚たる面々を乗せ、"記憶に残る旅は心に残る面白さ"を目指し、列車は動き出した。




大阪駅構内。せわしなく行き交う人の流れ。一人二人と姿を現す詐欺師たち。

 コーヒースタンドのカウンターに立つ三人の男。洒落たスーツ姿の久津内は、今回のプロジェクトのチーフで皆に声をかけた張本人。社会心理学まで学んでこの日に臨んだ。その隣、若いのに腕の立つヤリ手詐欺師・佐々木は、昔から酒癖が悪く、酔って転んだのか鼻を白いガーゼで覆っている。情熱家の彼は、カウンターの端でボーッとしているもう一人の男を胡散臭そうに眺めている。見られていることにも関心がなく、のど飴をボリボリと噛み砕いている男・志方は、かつて年に五億円以上稼ぐといわれたカリスマ詐欺師…しかし、今はその面影もない。

 ショッピングモールをビシッと決めたスーツ姿で颯爽と歩いてくる男と女。キリッとした美貌の女詐欺師・宝田は、昔の仲間との再会に胸(ちょっと小さめ)を躍らせている。傍らを歩く小柄な男・横山は今回、チームに初参加。以前は霊感商法のグループに属し、小銭稼ぎの横山と呼ばれていた。横山は宝田を「ババロアちゃん」と呼び、二人は今、組んで仕事をしている。
昔から宝田に密かな想いをよせている佐々木は、横山の参加にイラつく。そして、志方に憧れていた横山はその落ちぶれた姿にガッカリし、宝田も戸惑いを隠せない。チームは微妙にギクシャクしている…。

 大阪駅ホーム。札幌行きの豪華寝台特急トワイライトエクスプレスが動きだす。
お洒落なスーパー・スイート・ルーム 901号室で仕事の打ち合わせが始まる。今回の商品は偽物の羽毛布団。一組三十万円で五百組売り切ると売り上げ合計一億五千万円! 帰りには、用意した白いスーツケースが札束でギッシリになる予定。
 カラオケセット、抽選会用の景品、レンタカーの手配は要領の良い宝田。スタッフジャンバーの作成はいつも通り佐々木。カラオケショーの司会は志方しかいない。新参者の横山の仕事は、いつもは久津内の仕事だった大役に決定…ゴンゾウという名のパンダの気ぐるみ(普通は垂れている目の周りの黒い部分がなぜか真横)に入ってイベントを盛り上げる仕事だ。名物の手品は…「今井がいないんだから、手品はナシね」 宝田が冷たく言い放つ。


キャスト_ 椎名桔平、中谷美紀、妻夫木 聡、田辺誠一、八嶋智人、
監 督_ 大谷健太郎
備 考_ 原作:土田英生/脚本:土田英生、大谷健太郎、渡辺あや/音楽:クレイジーケンバンド/撮影:鈴木一博
公 開_ 12月18日(土)シネクイントほかにて全国順次公開
公式サイト_ http://www.30uso.com/


_Movie Information Dondetch_