_ ミリオンダラー・ベイビー


本年度アカデミー賞 作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞受賞!
ゴールデングローブ賞 最優秀監督賞・最優秀主演女優賞(ドラマ部門)受賞!


 全米中にわき上がる絶賛の声。アカデミー賞2部門に輝く『ミスティック・リバー』から1年、ハリウッドの頂点を極めたクリント・イーストウッドのまぎれもない最高傑作が、いまここに誕生した。

 ゴールデン・グローブ賞の監督賞・主演女優賞に続き、本年度アカデミー賞でも、作品賞、監督賞、主演男女優賞、助演男優賞の主要4部門で最優秀賞受賞。「本年度のNO.1」(NYタイムズ)、「イーストウッドの最も感動的でエレガントな映画」(LAタイムズ)と、全米中のメディアの絶賛を浴びた本作は、実の娘に縁を絶たれた初老のトレーナーと、家族の愛に恵まれない女性ボクサーのあいだに育まれる崇高な絆の物語を、慈しむようなまなざしでみつめたヒューマンドラマ。ラスト30分、とめどなく流れる涙を、誰も抑えることはできない。そんな心に染みわたるような感動を、見る者の胸に深く刻みつける珠玉の名編だ。

 トレーラー育ちの不遇な人生の中で、自分がひとつだけ誇れるのは、ボクシングの才能だけ。その思いを胸に、ロサンゼルスへやって来た31歳のマギー。彼女は、名トレーナーのフランキーに弟子入りを志願するが、フランキーは「女性ボクサーは取らない」と言ってマギーをすげなく追い返す。だが、これが最後のチャンスだと知るマギーは、フランキーのジムに入会し、黙々と練習を続ける。そんな彼女の真剣さに打たれ、ついにトレーナーを引き受けるフランキー。彼の指導のもと、めきめきと腕をあげたマギーは、試合で連覇を重ね、瞬く間にチャンピオンの座を狙うまでに成長。同時に、ふたりのあいだには、同じ孤独と喪失感を背負って生きる者同士の絆が芽生えていく。だが、彼らは知らなかった。その絆の真の意味を、試される時が来ることを…。

「これはシンプルなラブストーリー、父と娘のラブストーリーだ」。そう語るイーストウッドは、幼いころに唯一の理解者だった父を亡くしたマギーと、娘とのあいだに修復不可能な過去を持つフランキーが、おたがいの中に「家族」を見出していく過程を細やかに描写。フランキーから「モー・クシュル(マイ・ダーリン)」という新しい名前を与えられたマギーの人生が、試合に勝つことではなく、フランキーに愛されることで輝きを帯びて行く様を、繊細なエピソードの積み重ねを通じて丁寧に描き上げていく。そして、エキサイティングなファイト・シーンの後に用意された衝撃の結末。提示されるのは、あまりにも悲しく、あまりにも切ない愛の形。自分のすべてを投げうって、マギーのたったひとつの願いをかなえようとするフランキーの思いは、イーストウッド自身が手がけた心揺さぶる音楽にのせ、私たちの心の奥深く、最も神聖な場所へと運ばれ、生涯消えることのない感慨となって残り続けていく。

 シンプルなストーリーは、役者の演技によって重厚な輝きを放つ。そのことを誰よりも知っているイーストウッドは、自らフランキーに扮してカメラの前に立ち、重い十字架を背負った男の意地と苦悩、そして、マギーを育てることに贖罪の機会を見出していく男の生き様を、物の見事に演じきり、アカデミー主演男優賞にノミネートされた。そんなイーストウッドに勝るとも劣らない名演を見せるのが、『ボーイズ・ドント・クライ』のオスカー女優ヒラリー・スワンクだ。3カ月のトレーニングを経て、マギー役に挑んだ彼女は、全編吹き替えなしでボクシング・シーンに挑戦。その肉体的なチャレンジもさることながら、ボクサーというタフな役柄の中に、けなげさ、愛らしさが滲み出る堂々たるヒロインぶりを見せ、ゴールデン・グローブ賞をはじめとする数々の主演女優賞を受賞。アカデミー賞にも堂々の2度目のノミネートを果たした。

 そしてもうひとり、忘れてならないのが、フランキーの唯一の友であり、マギーにハートのあるボクサーの素質を見出すスクラップを演じて4度目のアカデミー賞候補になったモーガン・フリーマンだ。彼の3度目のオスカー候補作『ショーシャンクの空に』と同様、物語はスクラップを語り部に進行していくが、そうした神の視点を持つキャラクターに、今回もフリーマンは抑制のきいた演技を見せ、唯一無比の存在感を発揮する。

 F・X・トゥールの短編集「Rope Burns」におさめられた短編をベースに、セリフのひとつひとつが深い意味を持つ脚本を書きあげたのは、TVシリーズ「thirtysomething」でエミー賞、ヒューマニタス賞などを受賞し、映画デビュー作にあたる本作で、アカデミー賞候補にあがったポール・ハギス。スタッフには、撮影監督のトム・スターン以下、『ミスティック・リバー』を手がけたイーストウッド組のメンバーが集結。本作が記念すべき25本目の監督作となるイーストウッドを、力強くサポートしている。


キャスト_ クリント・イーストウッド(第77回アカデミー賞主演男優賞ノミネート)/ヒラリー・スワンク(第77回アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞)/モーガン・フリーマン(第77回アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞)
監 督_ クリント・イーストウッド
公 開_ 2005年初夏、丸の内ピカデリー2他全国松竹系ロードショー
公式サイト_ http://www.md-baby.jp/


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