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![]() 終わらない拍手、止まらない涙、静かな感動に心が震える ![]() 東京の出版社に勤める香織はふとした事件をきっかけに九州のタウン誌に異動を命ぜられる。そこに届いた一通のはがき。このはがきには映画館での懐かしい思い出が綴られていた。その取材のため古くからの映画館みなと劇場を訪れた香織は、その映画館で昭和の映画全盛の時代に幕間芸人として生きた男、安川修平とその家族について話を聞かされる。いつでも笑顔でお客を楽しませていた修平だが映画興行の斜陽とともに家族三人の生活は次第に困窮していった。 泣きたくなるほど楽しかったあの頃、お父さんがそばにいてくれたから。 この家族の数奇な運命に心動かされ親子探しの旅に出た香織は、ついに娘美里と出会い親子のその後を知ることになる。「いい子でいればすぐに迎えに来る」と言葉を残し去っていった父。その言葉を信じ待ち続けた美里のもとに父が迎えにくることはなかった。「会いとうない。」本当はたまらなく会いたいのに今でも父修平を許せない美里の心はかたくなだった。美里の話しを聞く香織は、疎遠になっている自分自身の父との関係を見つめなおすことになる。そして修平と美里を再会させるため香織は一人、海を渡るが… 『いつでも夢を』『下町の太陽』『網走番外地』… 昭和を彩った映画とともに懐かしいあの頃がよみがえります。 本編に登場するたくさんの名作映画。それらは映画が庶民の最大の娯楽であった時代に生きた人々の心に焼き付いている作品ばかりです。昭和三十年代から四十年代にかけての描写にはモノトーン映像が使われますが、スクリーンには日本映画の数々が鮮やかなカラーで浮かび上がり、懐かしの歌謡曲とともにあの頃がよみがえります。貧しくても逞しくみんな元気だった昭和のあの頃、そして現代の家族を物語るのは、『チルソクの夏』で日韓の微妙な人間関係を暖かく見つめ『半落ち』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞、そして『四日間の奇蹟』と、近年感動作を世におくり出し続けている佐々部清監督。小津安二郎、山田洋二に続く、日本の家族を丁寧に描き押し付けのない静かな感動を呼び起こす映画作家の最新作です。 ![]() それは一通の葉書からはじまった ![]() そこでの仕事は、読者が投稿してきた<懐かしマイブーム>の取材。その中に届いた一通の葉書。それは「昭和30年代終わりから40年代中ごろまで下関の映画館にいた幕間芸人を探して欲しい」というもの。葉書に香織は心惹かれ、その映画館<みなと劇場>を取材することに。 幕間芸人 安川修平を探して 当時から働くモギリの女性・宮部絹代(藤村志保)の話によると、昭和36年<みなと劇場>にやってきた安川修平(藤井隆)は、場内整理、掃除のほかガリ版刷りのビラを作って、近所の商店に配って廻るなど、仕事熱心で誰からも愛される青年だった。修平が働き始めて半年後の昭和37年春。大入り満員の『座頭市物語』の上映中に、フィルムが切れてしまう。観客の野次を静めるため、舞台に飛び出し、座頭市の物真似をする修平。これが観客に受けて、修平は上映の幕間に物真似をみせる“幕間(まくあい)芸人”となり、人気者になっていく。翌38年の夏、映画を観にきていた良江(奥貫薫)と出会い、みなと劇場の仲間たちから祝福され結婚。2年後には長女・美里が生まれ、順風満帆の生活にみえたが……。
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