![]() | ||||||||||||
![]() 世界中の女性を虜にした『8人の女たち』のフランソワ・オゾン監督最新作 『まぼろし』から始まった“死についての3部作”第2章が今、幕を開ける── ある日突然、余命3ヶ月と宣告されたら? 死を見つめることで「生きる」ことを讃える感動作──あなたには何が残せますか? ![]() 怒り、悲しみ、絶望……様々な感情の嵐にのみこまれながらも、ロマンは自身の心の声に耳を傾ける。回復の見込みのない無理な治療を拒否して病とは闘わない、愛しているけれど軋轢も多い両親と姉には秘密にしておく、一緒に暮らす恋人には一方的に別れを告げる──差し迫った命の期限に向けて、ロマンが選択した道とは、たった一人で自らの死とまっすぐに向き合うことだった。 唯一の理解者である祖母にだけは真実を打ち明け、彼女の深い愛に打たれるロマン。死を意識して初めて一瞬一瞬を慈しむように生き、その積み重ねこそが人生だと知ったロマンの命は、死が近づけば近づくほど、むしろ鮮やかにきらめくのだった。そんなロマンが、未来に残そうとしたものとは──? 突然、命の終わりを告げられた時、人はどこに生の意味を見出すのか? 死を見つめることで人生を讃える感動作、それが『TIME TO LEAVE』である。──あなたなら何を残しますか? ラブストーリーからサスペンスまで変幻自在な才能を操るフランソワ・オゾン 今やフランスを代表する若き名匠の渾身の3部作第2弾 『8人の女たち』では絢爛豪華なキャストと衣装で世界中の女性を虜にし、『スイミング・プール』で女性の美のミステリーを解き明かし、『ふたりの5つの分かれ路』では愛の謎に迫ったフランソワ・オゾン。作品ごとに異なる多種多様なラッピングで観客を楽しませ、蓋を開ければ“オゾンブランド”の本物の感動が詰まっているという見事な手腕で、今やフランス映画界の若き名匠と讃えられている。 そのオゾンが、監督生命をかけて挑むのが“死についての3部作”だ。現代社会において、リアルな死を語ることはいつの間にかタブーになっていないだろうか? すべての人に必ず訪れる死を見ないふりをして、果たして豊かな人生を送れるのだろうか? そんな疑問に答えるべく、オゾンは第1弾『まぼろし』で、“愛する者の死”をとりあげ、夫をなくした女性が深い悲しみから再生していく姿を描き、世界中の涙を誘った。 続く第2弾、本作『TIME TO LEAVE』で描くのは、“自分自身の死”である。オゾンは、余命を宣告されたロマンの心の変化を映す、どんな小さなため息も指の震えも瞳の光も逃さない。その結果私たちは、ロマンの死に向かう旅路に付き添い、彼が自分の運命に抗い、やがてはそれを受け入れる過程を共に体験することになる。あやまちも含めて人生を肯定したロマンは、死さえもこの素晴らしい人生の一部だと知る。死の恐怖に打ち勝った彼の静かな、けれど大きな喜びを共に味わう時、私たちの心にはいつまでも消えない希望の灯がともるのだ。 ![]() 告知〜余命3ヶ月。「君はまだ若いから闘ってほしい」と医師は言う ![]() 数日後、ロマンは31歳の若さで、余命3ヶ月だと宣告される。ガンがあちこちに転移していて、手術による切除は不可能だというのだ。医師の勧める化学療法を拒んだ瞬間から、ロマンの死に向かう旅が始まった。帰り道、ロマンは公園のベンチに座り、いつもと同じ平穏な世界にカメラを向けると、震える指でシャッターを押した。 家族〜打ち明けたい。打ち明けられない。もっとしっかり肩を抱いてくれたなら 大切なことは何ひとつ話さない、それが家族。ロマンは両親のアパートを訪ね、久しぶりに家族4人で夕食を囲むが、以前から折り合いの悪い姉のソフィ(ルイーズ=アン・ヒッポー)と口論になってしまう。幼い子供を抱えて離婚間近のソフィの神経を逆なでしてしまったのだ。 アパートまで送ってほしいと父(ダニエル・デュバル)に頼むロマン。息子の様子がおかしいことに気付きながらも、かけるべき言葉を見つけられない父親。別れ際の抱擁でロマンが見せた涙の本当の意味を、父はまだ知らない……。 恋人〜「愛していない」美しい横顔に最も残酷な方法で別れを告げる 一緒に暮らす恋人のサシャ(クリスチャン・センゲワルト)と抱き合った後、「もうお前なんか必要ない。出て行け!」と冷たく言い放つロマン。突然の暴言に逆上したサシャとつかみ合いになるが、ロマンの決意は変らない。階下の部屋へ降りていくサシャの背中に「許せ。すまない」と小さく呟くロマン。 数時間後、ロマンは怒り疲れて眠るサシャのギリシャ彫刻のように美しい姿にカメラを向け、慈しむようにシャッターを切る。 祖母〜この広い世界で唯一の理解者の愛の言葉に包まれる 幸いにも、この世の中に同じ匂いのする人間が一人はいる。ロマンにとって、郊外の街に一人で暮らす祖母ローラ(ジャンヌ・モロー)がそうだった。休暇をとって訪ねてきたロマンから秘密を打ち明けられたローラは、落ち着いた物腰で、なぜ自分にだけ話したのかを尋ねる。「おばあちゃんは僕に似てるから。もうすぐ死ぬ」ローラは、どこか強がった態度のロマンに、優しくかつ毅然と語る。「今夜、あなたと死にたい」その言葉に抱かれたロマンは、命の期限を知って以来初めて、子供のように素直に泣くのだった。 別れの朝、最後まで気丈に涙をこらえるローラにカメラを向けたロマンは、こみ上げる想いにシャッターを切るのがやっとだった……。 他人〜偶然の出逢いの行く先は? 死にゆく者への不似合いな願いごと 祖母を訪ねる途中に立ち寄ったカフェで働いていた女性、ジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)と、帰り道で偶然に再会するロマン。彼女はロマンに風変わりな願いを申し出る。夫の方に問題があって子供が出来ないので、代理父になってくれないかというのだ。とっさにロマンは「子供は嫌いなんだ」と断るが、彼女の願いがいつまでも心に引っかかっていた。 自分〜死と2人きりになったロマンに見えてきた眩しいほどの命の輝き 祖母の家から戻ると、サシャは置手紙を残して消えていた。仕事をやめて、ただひたすら一人で死と向き合うロマン。身も心も衰弱していくロマンに、姉のソフィから和解を求める手紙が届く。それは荒野で見つけた一番星のようにきらめく、率直で愛情に溢れた手紙だった。 公園で子供をあやすソフィの携帯電話にロマンから連絡が入る。優しい言葉を掛け合う姉弟。「忙しくて会いにいけない」と話すロマンは、実はソフィの背後の木陰にいた。そっと姉に近付き、命の輝きを放つ親子にカメラを向けるロマンの手は、もう悲しみに震えてはいなかった。 再び外の世界へ踏み出したロマンは、サシャと再会し、ジャニィの願いを思い起こす。残された時間はあとわずか。自分にできることは何だろう? 遺言〜果たしてロマンは、未来に何を残そうとしたのだろうか──? (C)2005 Fidélité - France 2 Cinéma - Foz
|
_Movie Information | Dondetch_ |