『墨攻』オススメ最新映画情報



_ 墨攻


10万の敵にたった1人で挑む。歴史の闇に葬られた〈墨家〉

 大国が小国に攻め入り、力で制する――世界史の中で数えきれないほど繰り返されてきた侵略戦争は、21世紀になっても絶えることがなく、悲劇をもたらし続けている。しかし、強者のエゴに敢然と立ち向かい、弱者を守り抜こうとした集団が2000年以上も前の中国に存在した。儒家と並ぶ勢力を誇りながら、歴史の闇に葬られた〈墨家〉である。

 戦乱の世に「非攻」を掲げ、平和を目指して戦い続けた墨家。彼らは決して自ら攻撃を仕掛けることはなく、しかし守るためには戦闘のプロとなった。この集団は、春秋時代末の紀元前5世紀に思想家・墨子によって創始された。そして紀元前3世紀、始皇帝の中国統一によって戦国時代が終わると、忽然として消えた。その間200年余。彼らは、いかに戦い、いかに守ったのか?

伝説のコミック待望の映画化

 多くの謎に包まれている墨家だが、革離というひとりの墨家の男を主人公にした森秀樹(作者)と久保田千太郎(漫画脚本)によるコミック「墨攻」が1992〜96年、小学館の「ビッグコミック」に連載されると、読者の大反響を呼んだ。今なお熱く語り継がれているこのコミックの原作は、酒見賢一の中島敦記念賞を受賞した同名小説である。

 日本で生まれた傑作コミック「墨攻」は海外でも熱烈なファンを獲得し、そのひとりである香港の監督が映画化を決意。日本、韓国、香港、そして墨家の故国である中国の3カ国4地域が手を組み、待望の映画化が実現した。

1人対10万人の戦い

 革離は陥落寸前の小さな城に駆けつけ、たったひとりで10万人の敵を相手にする。優れた分析能力と的確な判断力を持ち、常に先手を打って、意表をつく守城戦術の数々を駆使する革離。クールな頭脳、磨き抜かれたテクニックで強大な敵を打ち負かすさまは痛快だ。そして、一旦引き受けた任務は死に物狂いで果たすプロフェッショナリズム。その姿は、過酷な現代社会を生き抜く男たちや女たちにも重なる。

 彼は決してヒーローとして表舞台に立つことのない、ひとりの孤独な男である。平和な世界を実現するという崇高な理想を胸に、ときには非情な戦士となり、ときには敵の命も惜しむ人間臭さを垣間見せる。その強さ、優しさが観る者の心を揺さぶる。

アジアの精鋭を結集

 革離には香港からアジアのトップスター、アンディ・ラウ。敵の猛将・巷淹中には韓国の国民的俳優アン・ソンギ。大物俳優2人を囲んで、次世代アジアン・ビューティーとして注目を集める中国の若手女優ファン・ビンビン、TVドラマ「春のワルツ」で日本でもブレイクが期待される韓国若手男優チェ・シウォン、台湾出身の人気俳優・歌手ウー・チーロン、そして『始皇帝暗殺』の中国の性格俳優ワン・チーウェンが国際色豊かに豪華共演。

 監督・脚本は、構想10年にして映画化を達成した『流星』のジェイコブ・チャン。香港、中国の精鋭スタッフとともに、日本からは撮影監督の阪本善尚、音楽の川井憲次らが参加。アジアの粋を集めた歴史アクション大作の誕生である。




紀元前370年頃の戦国時代。趙と燕の国境にある梁城は危機に瀕していた。

 趙の大軍が燕に侵攻しようとしており、手始めに攻撃されるのは必至だ。百戦錬磨の巷淹中(アン・ソンギ)率いる勇猛な10万の趙軍に対し、梁城は全住民わずか4千人。頼みの綱は墨家の救援部隊だったが、間に合いそうもなく、梁王(ワン・チーウェン)は降伏を決断する。

 粗末な身なりをした墨家の革離(アンディ・ラウ)がたったひとりで駆けつけたのは、その直後だった。早くも趙軍の先遣隊がやって来ると、1本の矢で隊長・高賀用の出鼻をくじく革離。1カ月持ちこたえれば趙軍は撤退するはずだと王に説明し、兵に関する全権を与えられた彼は、さっそく城を守る準備に取りかかる。  老若男女を総動員して食糧やさまざまな物資を集め、あらゆる攻撃に備えて作戦を立てる革離。王の息子・梁適(チェ・シウォン)は、弓兵の子団(ウー・チーロン)が弓隊の統括に抜擢されたことに激しく反発するが、子団は彼と実力を競い合って見事に勝ち、革離の正しさを証明する。

 大軍が攻めてくることに怯えて逃亡を試みる者もいた。しかし、妻子を連れていた農民の蔡丘ら4人は、趙軍に捕まって尋問され、革離の存在を巷淹中に知られることとなる。

巷淹中は梁城の近くまでやって来て、革離に盤上の戦いを挑んだ。そして、革離を好敵手と見た彼は、実戦での再会を期して帰っていく。

 ついに趙軍の猛攻撃が始まった。梁城側は、囚人たちまで動員しての文字通りの総力戦である。無数の火矢が降り注いだが、革離の火災への備えは万全だった。城壁に押し寄せた趙兵たちは、硫黄の煙を浴びせられて混乱に陥ったところへ矢の攻撃を受け、さらに石や石灰まで投げつけられる。革離の狙い通り、敵は脆弱な南門に集結していった。門を破って突入した彼らを待っていたのは、火攻めの仕掛け。それを自ら動かした革離は地面に転落してしまい、そこへ高賀用が襲いかかってくるが死闘の末に彼を倒す。皆が力を合わせて戦ううちに趙軍は退却した。味方にも犠牲は出たが、ごく少数にとどまった。梁城は歓喜に沸き、革離は一躍、絶大な信頼を獲得する。

 なかでも彼に熱い想いを抱いたのは、王直属の騎馬隊を束ねる逸悦(ファン・ビンビン)だった。若く美しい彼女は負傷した革離を介抱し、ぼろぼろの靴を見かねて新しい靴を贈ろうとするが、彼は固辞する。戦いはまだ終わったわけではなく、敵は密偵や刺客を送り込んでくる。革離は巧みな方法で彼らをあぶり出し、また自ら偵察に出かけた。すると、ついてきて道案内を買って出る逸悦。ふたりは敵が地下トンネルを掘っていることを突きとめるが、敵に見つかり断崖の上に追いつめられる。泳げないにもかかわらず、眼下の水に勇気を出して飛び込んだ逸悦を、懸命に助ける革離。彼に背負われて、逸悦は束の間の幸福を味わう。

 革離は竹筒を使って地下の動きを耳で探り、トンネルが城内に達するのを待って敵を一網打尽にした。しかし真っ先に地上に出てきた奴隷の袁羽はすばやく逃げ、幼い少女を捕まえて盾にする。革離の説得で少女を放した後、皆に袋叩きにされる袁羽。革離は必死で止め、袁羽を逃がしてやった。相手が殺そうとしないかぎり、決して殺してはならないのだ。ところが、武器を捨てた大勢の趙兵を牛子張将軍は皆殺しにしてしまう。革離の言葉を誤解し、敵をより多く殺すことが最善と考えたのだった。自責の念にさいなまれ、城を去ることを考える革離。逸悦は彼にすべてを捧げようとするが拒まれてしまう…。


キャスト_ アンディ・ラウ、アン・ソンギ、ワン・チーウェン、ファン・ビンビン、ウー・チーロン、チェ・シウォン、ウー・マ、チン・シウホウ、サミー・ハン、シュウ・シアントン、リン・ヨンチェン、ワン・シュアンパオ、チャン・リー、チョウ・ポー
監 督_ ジェイコブ・チャン
公 開_ 2007年2月、丸の内ピカデリー1他 全国松竹・東急系にて拡大ロードショー
公式サイト_ http://www.bokkou.jp


_Movie Information Dondetch_