
あなたを愛しています。私のもとに帰ってきて…。
壮大なスケールで描く 切なくも美しい 愛とつぐないの大河ロマン
1930年代、戦火が忍び寄るイギリス。政府官僚の長女に生まれた美しいヒロイン・セシーリア。兄妹のように育てられた使用人の息子・ロビーを、身分の違いを越えて愛しているのだ、と初めて気づいたある夏の日、生まれたばかりの二人の愛は、小説家を目指す多感な妹・ブライオニーのついた哀しい嘘によって引き裂かれることになる。
生と死が背中合わせの、戦場の最前線に送り出されるロビー。彼の帰りをひたすらに待ち、「私のもとに帰ってきて」と手紙をしたため続けるセシーリア。そして、自分の犯した罪の重さを思い知らされるブライオニー。セシーリアとロビーは、再び会えるのか?ブライオニーが罪を贖える日はやってくるのか?三人の運命は、無情な時代の流れの中に呑み込まれていく…。
『プライドと偏見』の俊英ジョー・ライト監督ら最高のスタッフがブッカー賞作家イアン・マキューアンのベストセラーを完全映画化!
イギリス本国のみならず、現代文学を代表するブッカー賞作家イアン・マキューアンの、最高傑作として名高い世界的ベストセラー「贖罪」(新潮社刊)の完全映画化が遂に実現しました。その構成の緻密さ、文学性の高さゆえ映像化は困難、と言われた大河小説を、見事にフィルムに焼き付けたのは、前作『プライドと偏見』でジェーン・オースティンの世界を再現した実績を持つ俊英ジョー・ライト監督。
アカデミー賞を始め数多くの映画賞受賞歴を持つ一流の精鋭スタッフと共に、新たなラブ・ストーリーのエヴァーグリーンを作り上げました。女性たちの涙をしぼった『タイタニック』から10年…。 またひとつ、語り継がれていく、永遠の恋人たちの物語の誕生です。
本年度 映画賞レースに参戦必至の パーフェクトな俳優陣。今、最も輝く女優 キーラ・ナイトレイの、目を奪うばかりの美しさ
運命に翻弄されながらも、愛を貫こうとするヒロイン セシーリアには、美しさに磨きのかかるキーラ・ナイトレイ。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのヒロイン役で人気を博し、『プライドと偏見』でアカデミー賞主演女優賞にノミネート、今や名実共にトップ・スターに登りつめた彼女の、新たなステージの一歩となるのが本作です。
恋人 ロビーには『ラストキング・オブ・スコットランド』での好演後、主演作が相次ぐ英国の若手実力派 ジェームズ・マカヴォイ。ふたりを引き裂く結果になる妹 ブライオニーは、時代ごとに三女優が熱演。少女時代を抜群の表現力で演じるのは新星 シアーシャ・ローナン、娘時代を『エンジェル』のヒロイン役で注目されるロモーラ・ガライ、大作家となった晩年を名女優ヴァネッサ・レッドグレイヴ。主要キャスト全員が、本年度主要映画賞へのノミネーションを噂されるほどの名演を見せています。

PART 1 セシーリアとロビー
1935年、イングランド。夏のある日。政府官僚ジャック・タリスの屋敷の中を、末娘のブライオニーが自ら書き上げた原稿を手に走り回っていた。小説家を夢見る彼女の初めての戯曲“アラベラの試練”。休暇で帰省する兄リーオンと、その友人を、今夜この劇を上演して歓待するのだ。「傑作ね」、母エミリーにもほめられた。あとは芝居の稽古だ。家庭内のいざこざが原因で、タリス家に一時的に引き取られている叔母の子供たち、いとこのローラとその双子の弟ジャクスンとピエロにも役を演じてもらおう。
ブライオニーの姉セシーリアは、ケンブリッジを卒業して家に戻ったものの、今後の身の振り方が決まらず、屋敷で退屈な日々をやり過ごしていた。彼女の視線がとらえる庭仕事中の青年は、タリス家の使用人の息子ロビー・ターナー。敷地内でタリス家の子供たちと共に育った、いわば幼なじみだ。ロビーは聡明な若者で、当主ジャック・タリスの援助によってセシーリアと同じケンブリッジを卒業、今後も引き続き援助を受け、大学に残って医学を専攻するらしい。
「なぜロビーと口をきかないの?」、たずねるブライオニーに「きいてるわ。住む世界が違うだけよ」と無関心を装うセシーリア。
昼下がり、庭の噴水の前で、セシーリアとロビーの間でささいな諍いが起こり、セシーリアの持っていた花瓶が壊れ、その一部が水中に落ちてしまった。意地を張り合う二人。次の瞬間、何を思ったか、彼女は着ていた服を脱ぎ、噴水に飛び込んだ。花瓶のかけらを拾い、濡れた下着姿でロビーの前に立つセシーリア…。気まずい二人は、無言のままその場から離れた。ブライオニーは、その一部始終を屋敷から見ていた。見てはいけないものを見てしまった、と感じながら。
ロビーは家に戻り、セシーリアに自分の非礼を詫びる手紙をしたためた。タイプを打ちながら、次第に彼女に対する熱い想いがこみ上げ、思わず文面は猥雑なものになってしまった。こんなものは渡せまい。書き直すロビー。
兄リーオンと、その友人でチョコレート製造で財を成したポール・マーシャルが屋敷に到着し、晩餐会が始まろうとしていた。屋敷に向かう途中のロビーは、さきほどの手紙をセシーリアに渡してもらおうと、ブライオニーに託した。しかし渡した後で、それがまともなほうの手紙ではないことに気づく。好奇心からそれを盗み読んでしまうブライオニー。そこには少女が読むには生々しすぎる言葉が書かれていた。その後、ブライオニーから手紙を渡されたセシーリアは、妹に手紙を読まれたことを察し、文面よりもそのことに動揺した。
ロビーは、セシーリアに直接詫びようとした。「もう一通には何を?」と彼女。「もっと改まった、露骨ではない内容の…」。皮肉にもこの一件で、二人は自分の気持ちに正直になることができた。図書室の暗がりで愛し合う二人。「愛してるわ」。「僕も愛してる」…。しかし初めての情事は、妹ブライオニーの脅えた声で遮られた。人の気配を感じ図書室に入ってきたブライオニーにはその光景が、ロビーがセシーリアを辱めているように見えたのだ。
晩餐会。ブライオニーが誤解から、ロビーに対する嫌悪と恐怖を募らせる中、事件は起こった。家出したジャクスンとピエロを探すため、皆が手分けして敷地内を捜索している最中、ローラが何者かに襲われたのだ。現場に居合わせ、逃げていく人影を見たブライオニーは、捜査官に証言する。ローラを襲った犯人は、ロビーだと。数時間後、見つけ出した子供たちを連れて、屋敷に戻ってきたロビーを警察が待ち構えていた。連行されていくロビーに駆け寄ったセシーリアは、彼の耳元でささやいた。「戻ってきて。わたしのところへ」
PART 2 ダンケルク
4年後。ロビーは、フランス・ダンケルクにおけるドイツ軍との激戦の中にいた。部隊とはぐれ、仲間は既にメイスとネトルという、気のいい二人の伍長だけだった。伍長たちは、フランス語を流暢に操るロビーに尋ねる。「あんたみたいな上流の男が、なんで兵卒なんてやってんだ」。ロビーは、イギリスで犯罪者として収容されており、刑期を短縮するための手段として、従軍することを選んだのだ、と告げる。外套の内側にはセシーリアからの手紙の束。ロビーの脳裏に、セシーリアの面影がよぎる。半年前、ロンドンでの再会が叶った。「ご家族と連絡は?」、「取っていないわ」。あの事件以来、セシーリアは家族の元を去り、看護士になっていた。「僕らにあるのは、三年半前の、あの図書室での瞬間だけだ」、カフェのテーブルで手をそっと重ね合わせる二人。つかの間の逢瀬が終わる。「次の休みには、海辺のコテージへ行きましょう」。人目もはばからず抱擁し、唇を重ね合わせ、バスに乗り込み仕事場に戻っていくセシーリア。
郵便網が崩壊する前の、セシーリアからの最後の手紙には、ブライオニーのその後が綴られていた。“妹から手紙が来ました。大学に進まず、看護士の訓練を受けているそうです。あの時の自分の過ちをつぐないたいと…”。ロビーは、幼い日のブライオニーを思い出していた。「私が危険な目に遭ったら助けてくれる?」。川辺にいたブライオニーは、そう尋ねると川に飛び込んだ。ロビーは躊躇することなく、溺れる彼女を助けるために川へ。「何の冗談だ!二人とも死んでしまうぞ」、本気で怒るロビーに、ブライオニーは何度も謝った。「あなたは命の恩人。一生忘れません…」。
ロビーと二人の伍長は苦難の末、海岸に辿り着いた。しかし、そこには自国へ帰る船を待つ、数十万の兵士たちが滞留していた。帰国して、ふたたびセシーリアに会うのはいつの日になるのだろうか。ロビーの胸には、戦場で負った傷が大きく口を開けていた。「戻らなければ。彼女と約束したんだ、やり直すと…」。ロビーの意識が遠のいていく…。
PART 3 ブライオニー
同じ頃、ブライオニーはロンドンの病院で、厳格な主任の下、看護士の見習いをしていた。夜中に寮を抜け出して書き綴るのは、セシーリアとロビーの物語…。
ある日、多くの負傷兵が病院に搬送されてきた。混乱の中、ブライオニーは軍服を着たロビーの姿を見た。しかしそれは、人違いだった。彼女は、ローラが襲われたあの夏の夜のことを、セシーリアとロビーに詫びて、許してもらうことを望んでいた。ブライオニーが見た人影はロビーではなく、兄リーオンの友人 ポール・マーシャル。偽りの証言をして、二人を引き裂いてしまったのだ。
事件から5年後の今、当事者のローラとマーシャルが結婚することを知ったブライオニーは、挙式が行われる教会に出向いた。顔を伏せるローラ。
その足で、彼女はセシーリアが住む家を訪ねる。家族と絶縁状態のまま、古びたアパートでひっそりと暮らす姉との再会、二人は激しい口論となった。「私、ひどいことを…」、過去の過ちを詫びようとするブライオニーを、セシーリアは「許さないわ」と遮った。寝室から男が姿を現した。帰還してセシーリアの家に身を寄せるロビーだった。「あの晩、ローラを襲ったのはマーシャルよ」。ブライオニーは二人に告白した。なぜ嘘をついた、なぜ今さら真実を、と怒りを露にするロビー。被害者のローラが花嫁となった今となっては、判決は覆せまい。しかし、ロビーはブライオニーに詰め寄った。「ほんとうのことを書面に残してくれ。韻も装飾も抜きで。そして二度と来るな」。
1999年、ロンドンのテレビ局のスタジオ。77歳になったブライオニーが、小説家として21作目の作品「つぐない」についてのインタビューを受けている。「これは私の遺作です」。ブライオニーは言う。「真実を語ろうと、ずっと前から決めていました。韻も装飾も抜きで…」。この本を書き終えて、彼女は罪をつぐなえたのだろうか?もうひとつの真実が、彼女の口から語られようとしていた。
(c)2007 Universal Studios. All Rights Reserved.
監 督 |
ジョー・ライト |
キャスト |
キーラ・ナイトレイ(セシーリア タリス家の長女)/ジェームズ・マカヴォイ(ロビー・ターナー タリス家の使用人の息子)/シアーシャ・ローナン(ブライオニー タリス家の次女13歳)/ロモーラ・ガライ(ブライオニー18歳)/ヴァネッサ・レッドグレイブ(ブライオニー 老年)/ブレンダ・ブレッシン (グレース・ターナー タリス家の使用人 ロビーの母親)/パトリック・ケネディ(リーオン タリス家の長男)/ハリエット・ウォルター(タリス夫人 セシーリア、ブライオニーの母)/ベネディクト・カンバーバッチ(ポール・マーシャル リーオンの友人)/ジュノー・テンプル(ローラ・クィンシー セシーリア、ブライオニーの従姉妹)/ジーナ・マッキー(シスター・ドラモンド 看護主任)/ジェレミー・レニエ(リュック・コルネ ブライオニーの看護を受ける兵士) |
公 開 |
2008年春、新宿テアトルタイムズスクエア他全国順次公開
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