■決定!2015年・第72回ベネチア国際映画祭
 世界中に数ある映画祭の中でも伝統と格式を誇り世界最古の国際映画祭として有名なベネチア国際映画祭。2015年・第72回ベネチア国際映画祭の主な受賞作品及びコンペティション部門出品作は以下の通りです。



■グランプリ・金獅子賞
『Desde alla (From Afar) 』ロレンソ・ビガス監督(ベネズエラ、メキシコ)

■監督賞・銀獅子賞
パブロ・トラペロ監督『El Clan (The Clan) 』(アルゼンチン、スペイン)

■審査員大賞
『Anomalisa』チャーリー・カウフマン&デューク・ジョンソン監督(アメリカ)

■優秀男優賞
ファブリス・ルキーニ『L’hermine(Courted)』(フランス)

■優秀女優賞
ヴァレリア・ゴリノ『Per amor vostro』(イタリア)

■審査員特別賞
『Abluka(Frenzy)』エミン・アルペール監督(トルコ、フランス、カタール)

■優秀脚本賞
クリスチャン・ヴァンサン『L’hermine(Courted)』(フランス)

■マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)
エイブラハム・アッター『Beasts of No Nation』(アメリカ)

 コンペティション出品作一覧(公式サイトより/日本語表記は原題を含みます)

■『11 minut (11 Minutes)』
イエジー・スコリモフスキ監督
(ポーランド、アイスランド)
■『Anomalisa』
チャーリー・カウフマン&デューク・ジョンソン監督
(米国)
■『A Bigger Splash』
ルカ・グァダニーノ監督
(イタリア、フランス)
■『Behemoth』
チャオ・リャン監督
(中国、フランス)
■『Beasts of No Nation』
キャリー・ジョージ・フクナガ監督
(アメリカ)
■『Sangue del mio sangue(Blood of My Blood)』
マルコ・ベロッキオ監督
(イタリア、フランス、スイス)
■『El Clan (The Clan) 』
パブロ・トラペロ監督
(アルゼンチン、スペイン)
■『The Danish Girl』
トム・フーパー監督
(イギリス、アメリカ)
■『Desde alla (From Afar) 』
ロレンソ・ビガス監督
(ベネズエラ・メキシコ)
■『The Endless River』
オリビエ・エマヌス監督
(南アフリカ、フランス)
■『Equals』
ドレイク・ドレマス監督
(アメリカ)
■『Francofonia』
アレクサンドル・ソクーロフ監督
(フランス、ドイツ、オランダ)
■『Abluka(Frenzy)』
エミン・アルペール監督
(トルコ、フランス、カタール)
■『Heart of a Dog』
ローリー・アンダーソン監督
(アメリカ)
■『L’attesa(The Wait)』
ピエロ・メッシーナ監督
(イタリア、フランス)
■『Looking for Grace』
スー・ブルックス監督
(オーストラリア)
■『L’hermine(Courted)』
クリスチャン・バンサン監督
(フランス)
■『Marguerite』
グザビ・ジャノリ監督
(フランス、チェコ、ベルギー)
■『Per amor vostro』
ジュゼッペ・M・ガウディノ監督
(イタリア、フランス)
■『Rabin, the Last Day』
アモス・ギタイ監督
(イスラエル、フランス)
■『Remember』
アトム・エゴヤン監督
(カナダ、ドイツ)

 ベネチア国際映画祭とは?

 世界には映画祭と呼べるものが400とも500とも言われていますが、中でも歴史と伝統において他の追随を許さないのが、カンヌ、ベルリン、そしてこのベネチアの世界三大映画祭です。特にベネチア国際映画祭の歴史は古く、第1回が開催されたのは1932年(昭和7年)でした(カンヌは1946年、ベルリンは1951年から)。
 ベネチア国際映画祭と言えば当初、「自由な作品の上映」に、製作者、監督、俳優などから賛同を得、その規模を拡大していったのですが、いつしか政治が介入(もともと、ムッソリーニの映画好きは有名で、1935年には映画都市シネチッタを作ったほど)して、受賞作品を変更するというようなスキャンダルが発覚、次第にその権威を失墜していくことになります。カンヌ映画祭の栄華に比べ、その規模、華やかさとも次第に縮小されていくのですが、しかし今でもその伝統は受け継がれ、風格漂う国際映画祭として、その地位は揺るぎ無いものとなっています。
 ベネチアはイタリアの北東部に位置する港町ですが、映画祭は、そのベネチアを「観光都市に」との名目で始められたものでした。実際に映画祭の会場となるのは、ベネチアから船で15分ほど、アドリア海に浮かぶリド島です。ここで毎年8月下旬から9月初旬にかけて1〜2週間程開催されます。リド島はあの「ベニスに死す」で有名な、オテル・デ・バンがあり、現在では、他にも豪華なホテル、別荘などが立ち並ぶ歓楽地となっています。メイン会場は「パラッツィオ・デル・チネマ」。各国から、コンペティション部門に出品してきた作品が連日上映され、他にも招待作などを含めると100本近い作品が、開催中に上映されることになります。審査の対象となるのは、コンペティション部門の作品で、その中から、金獅子賞(最優秀作品賞)、銀獅子賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞などがそれぞれ選出されます。


 日本映画とベネチア映画祭

 過去、日本映画はベネチア国際映画祭と深い関係にありました。特に、戦後間もない1951年、荒廃した日本、そして未だ復興途上の日本映画界において、その中から唯一ベネチアに出品された、黒澤明監督作品「羅生門」が、見事グランプリを獲得したことは特筆すべきことでした。以降、国際映画祭における日本映画の進出が始まり、またその実績も素晴らしく、栄光の50年代と呼ばれることになります。ただし、ベネチア映画祭ではそれ以前の1938年(昭和13年)、既に坂具隆監督作品「五人の斥候兵」が大衆文化大臣賞を受賞しています。
 ベネチア国際映画祭における日本映画の主な受賞作品は、以下の通りです。


1938年「五人の斥候兵」 大衆文化大臣賞
1950年「羅生門」 サン・マルコ金獅子賞/イタリア批評家賞
1952年「西鶴一代女」 国際賞
1953年「雨月物語」 サン・マルコ銀獅子賞/イタリア批評家賞
1954年「七人の侍」 サン・マルコ銀獅子賞
1954年「山椒太夫」 サン・マルコ銀獅子賞
1956年「ビルマの竪琴」 サン・ジョルジョ賞
1958年「無法松の一生」 サン・マルコ金獅子賞
1961年「人間の条件」 サン・ジョルジョ賞/イタリア批評家賞
1961年 三船敏郎 男優賞
1965年「赤ひげ」 サン・ジョルジョ賞
1965年 三船敏郎 男優賞
1967年「上意討ち−拝領妻始末」 国際批評家連盟賞
1989年「千利休−本覺坊遺文」 サン・マルコ銀獅子賞
1991年「無能の人」 国際批評家連盟賞
1995年「幻の光」 金のオゼッラ賞
1997年「HANA-BI」 金獅子賞
2003年「座頭市」 特別監督賞

 金獅子賞他主要部門受賞一覧

 第1回から現在までの金獅子賞(最優秀作品賞)・男優賞・女優賞など主な部門の受賞作品・受賞者を一覧にしました。左フレームからご覧になりたい回数をクリックして下さい。